充実の2時間 ヒラリー・ハーン ヴァイオリン・リサイタルを聴く






Hilary Hahn
Hilary Hahn

ヒラリー・ハーンを実際に見るのは今回が初めてです。
もう彼女も30代半ばというのに、ステージに現れたその容姿はあどけなく華奢で、それでいて優雅さを感じました。

当然のことですが、見慣れたCDジャケットと同じ彼女が、目の前のステージに立っていることに何故か安心感を覚えました。
そして、あの細い身体でありながら、あの驚きのパワーはどこから来るのかと感心しました。。
そんなところが昨日のヒラリー・ハーンの第一印象でした。

Hilary Hahn ヒラリー・ハーン
ヒラリー・ハーン ヴァイオリン・リサイタル ビラ

この日のプログラムは前半がモーツァルト、バッハといった古典ものに対し、後半はガラッと変わって現代曲がならんでいます。
こうした趣向は彼女がここ数年目指している特徴で、最近のCD作品やコンサート・プログラムでも披露されているものです。

彼女がもつ完璧なまでの演奏テクニックと力強さは、私が持つCD等で十分解っていましたが、ステージでの彼女の演奏では、
更なるきめ細かさと流麗さをはっきりと聴き取ることができました。

はるか彼方から聞こえてくる微かな音が、次第に音量を増し頂点に。
それはあたかも闇の向こうから近づいてくる得たいが知れない何かのようで、実にスリリングです。
彼女の最大の聴かせどころかもしれません。
音の大小、強弱の表現が実に上手いと感じました。

また、私は音楽評論家ではないので詳しいことはわかりませんが、
メロディーを歌わせるというか、流れるような旋律の部分ではとても滑らかに流麗に弾きこなします。
その意味では、今回プログラムになかった「シャコンヌ」など聴きたかった作品です。
(2013年のコンサートでは圧巻の演奏を披露したようで実に残念。)

当日は彼女のほか、ピアノ伴奏のコリー・スマイスだけという演奏構成の上、プログラム構成もバッハ、モーツァルト作品があるとはいえ比較的マイナーな作品と現代曲という組み合わせでしたから、途中なか弛みがあってもやむを得ないところを、彼女は持前の表現の多彩さとメリハリといった演奏テクニックで乗り切ったように思いました。
例えば、予定プログラム最終曲のティナ・デヴィッドソン作曲の「地上の青い曲線」は私は初めて聴く曲でしたが、ピチカートの珍しい奏法を披露してくれるなど、見せ場をチャンと心得ていたようです。

ヒラリー・ハーン プログラム
ヒラリー・ハーン 当日の曲目

恐らく彼女はこのプログラムに自信があったのでしょう。
その証拠に、アンコール曲含め約2時間のステージはアッという間に過ぎたというのが実感でしたから。

この日のカラフルでキュートなステージドレスとは対照的に、彼女の演奏にはひやりとしたスチールの剣を思わせる輝きと、鋭さと、美しさが同居しているようで、何とも印象深い充実のコンサートでした。

2016年6月13日

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