<スタートにあたって>
嘗て「日曜洋画劇場」という番組がテレビ朝日にあったことを覚えているだろうか。
映画の前後に故 淀川長治さんのユニークな映画解説があり、その名調子ぶりが親しまれ、その語りは長寿番組の要因でもあった。
調べてみると、1967年にスタートし2013年の4月の番組改編まで放送されていたとのこと。その後は「日曜エンターテイメント」として継続されるが、映画放送は不定期になってしまったそうだ。
現在は完全に終了した訳ではないようだが、映画番組としては自然消滅したも同然と言えよう。
わたし自身もかなり以前から番組に対して魅力を感じなくなったのは事実で、淀川さんが亡くなられた頃から、疎遠になっていったように思う。
打ち切りの最大の要因は視聴率の低迷だったようで、思うに2時間前後の映画を地上波で扱うこと自体に無理があったのではないだろうか。スポンサーや時間枠の問題は映画コンテンツそのものにシワ寄せを与え、中途半端な内容になりがちだ。
CMで無残に切り刻まれ、連続性を欠いた映像は観るものにとっては興味が半減するし、退屈そのものになってしまう。こうした緊張感のない映画にだれが魅力を感じるだろうか。
それに対し、新時代の映像コンテンツは時間に拘束されず、完全版として観ることができる。便利であり、魅力的である。そんな状況の違いがあって、地上波テレビ局が対抗できるはずがない。
時代が進み、人々が映画を観る環境は、一時のそれとは完全に様変わりしてしまった。レンタルビデオに始まりAppleやhuluなどのネットを使った映像配信、またBSやCS放送ではそれこそ映画専門チャンネルがあり一日中何らかの映画が放送されている現状。まさに激変したのである。
こうした変化を時代の趨勢と言ってしまえばそれまでだが、こうした低迷を招いたのは、地上波テレビ局の映画を取り扱う姿勢そもそもに問題があったとわたしは思う。
大袈裟かも知れないけど、こうしたテレビ局の行為は映画に対しての冒涜だとも感じている。
テレビ朝日に限らず、テレビ局のご都合主義が映画本来の価値、面白さを低下させ、挙句の果ては視聴率まで低迷させたのである。
テレビ局の自業自得だとはいえ、そのテレビ局自身に責任の自覚がないのが嘆かわしく腹立たしい。映画離れの要因を作ったということではその責任は重大である。
話は長くなってしまったが、こうした映画を取り巻く問題点を、このコーナーでは一映画ファンの怒りの声として採り上げていきたいと思っている。
勿論、映画の寸評、思い出も新旧交え述べていく予定だ。
それにしても、ネット上や店頭でDVDやBlu-rayがバナナの叩き売り同様に安売りされていることがとても悲しい。映像メディアが安く手に入るのは嬉しいが、映画ファンとしては複雑な気持ちである。そんな思いも機会を見て触れていくつもりだ。
言い古されたフレーズだけど、映画って本当に素晴らしいものです。
映画を観て気持ちが救われた、勇気づけられたという経験を誰しもお持ちのことでしょう。
そう!映画はわたしたちの味方なんです。映画を観た思い出と映画そのものをもっと大切にしたいものです。
それでは、サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ...