005 STAIRWAY TO HEAVEN 「天国への階段」 LED ZEPPELIN


音楽聴きくらべタイトル

課題曲

STAIRWAY TO HEAVEN 天国への階段
LED ZEPPELIN  レッド・ツェッペリン

今回紹介する「天国への階段」は、ビートルズとほぼ同時期に活動していたイギリスのハードロックグループ「レッド・ツェッペリン」の代表曲である。
このコーナーのひとつのテーマである、将来のスタンダードナンバー候補曲を選曲という意味合いからすると多少(?)マニアックかと思ったが、
楽曲としての魅力、曲の構成、演奏の完成度、根強い人気など、名曲としての条件を兼ね備えていると考え採り上げることとした。

レッド・ツェッペリンと言えば人気、話題性、アルバムセールスなどに於いて、当時のビートルズやローリング・ストーズに匹敵する程の存在だった。
圧倒的な歌唱力を持つ天才ボーカリストのロバート・プラント、同じく天才ギタリストであり名プロデューサーでもあるジミー・ペイジを中心にベースのジョン・ポール・ジョーンズ、そしてドラムスのジョン・ボーナムという最強メンバーによる構成。
初期の頃を除きテレビにほとんど出演しなかったことやメンバーの個性が強烈で彼らの行動が優等生的でなかったことなどから、メディアの格好の標的となり当時としてはロック界の異端児として話題性を欠くことはなかったようである。
静かに始まるジミー・ペイジのギターによるイントロから、あの独特の高音域を持つロバート・プラントの語りかけるような歌唱が暫く続く曲の前半。
後半に入ると曲の雰囲気はがらりと変わり、「静」から「動」へ一変する。
テンポはアップし、曲調は益々激しくなり、圧倒的な迫力でフィナーレへと向かって行く。
やがて激しさが絶頂に達した後、曲はまたスローテンポに戻り静かに終わる。
それはあたかも源流から湧き出た僅かな水が支流となり、その支流がいくつかの支流と合流し本流を形成し、やがて岩をも削る激流と変貌した後、大海原へ注がれその姿を静かに消していく川の流れをイメージしているかのようであるが、はたまた男女の夜を詠った実に意味深な曲の構成にも思える。

だが、思うに彼らは話題性多い異端児のハードロックグループである。
曲の真意は兎も角として、大自然を謳歌していると考えるよりは後者と考える方が彼ららしいのではないだろうか。
アルバムテイクでの演奏時間「8:02」は当時のロックナンバーとしては大曲である。
迫力、歌唱力、演奏テクニック、ドラマチック性などこのナンバーは計算できない程の魅力で満ち溢れ、何度聴いても飽きることのない、多種多様の表情をしたナンバーである。
聴く毎に受けるその印象は様々だが、不思議なことに甦る光景は常に一定で、バイト先で有線放送から流れる「STAIRWAY TO HEAVEN」を無心に聴いている青春真っ只中の自分自身の姿である。

<収録アルバム紹介>

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

通称「フォー・シンボルズ」と
呼ばれている4番目のアルバム
19129-2 Europe:250 008
LED ZEPPELIN レッド・ツェッペリン
STAIRWAY TO HEAVEN「天国への階段」
演奏時間:8:02(CDジャケット上は7:55)

天国への階段
Stairway to Heavenが収録されているLed_Zeppelinのアルバム

順番からすると彼らの4番目のアルバムになるが、何故かアルバムタイトルは正式にはなく、当時のレコードジャケットの表裏上にもテキストはいっさいなかった。
アルバムは通称「フォー・シンボルズ」などと呼ばれている。
タイトルがないのは実に紛らわしいが、彼ららしいといえばその通りである。

当該曲は4曲目に収録されている。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

STRONGER with Each Tear 輸入盤ジャケット
STRONGER
with Each Tear
輸入盤ジャケット

STRONGER
with Each Tear
輸入盤ジャケット
Mary J Blige  メアリー・J・ブライジ
STAIRWAY TO HEAVEN
演奏時間:8:53

イントロと全体的なアレンジはレッド・ツェッペリンのオリジナル版にかなり近い。

考えるに、この曲をレパートリーに採り上げるのはアーチストにとって勇気が必要だと思う。
それは、この曲が知っての通り歌唱上難解な曲であり、
その上、あのロバート・プラントの歌唱があまりに個性的で、ある意味、排他的要素が強いからだ。

だが、メアリー・J・ブライジという女性ボーカルは、このアルバムで果敢に挑戦し彼女なりの「STAIRWAY TO HEAVEN」として歌い上げたと思う。

STRONGER with Each Tear
参考
STRONGER
with Each Tear
(iTunes Store)

彼女は黒人女性ボーカルの中でも、歌唱力の点で群を抜いて上手い人だと思う。
だが正直なところ、彼女をしてもオリジナルのツェッペリンのそれを超えることはできないのだ。
それは、あまりにもオリジナルの完成度が高く偉大だからだと思う。
これはこれで致し方ないことなのだ。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

Rodrigo y Gabriela STAIRWAY TO HEAVEN
Rodrigo y Gabriela
STAIRWAY TO HEAVEN

Rodrigo y Gabriela
LIVE IN JAPAN(2008)
(iTunes Store)

Rodrigo y Gabriela
STAIRWAY TO HEAVEN
演奏時間:5:19

Rodrigo y Gabrielahaはメキシコ出身の男女アコースティック・ギター・デュオで、現在はアイルランドを拠点に活動をしている。
メンバーは
リードギター:ロドリーゴ・サンチェス (Rodrigo Sánchez)
リズムギター:ガブリエーラ・クインテーロ (Gabriela Quintero)

迫力ある速弾き演奏が彼らの基本的演奏形態で、魅力にもなっている。
今回紹介のアルバム「Rodrigo y Gabriela」はライブ盤だが、彼らのギター・テクニックを十分に堪能できる。

「STAIRWAY TO HEAVEN」はレッド・ツェッペリンのオリジナル曲に囚われることなく、彼らなりの解釈で原曲に変化を与え、自由に生き生きと演奏している。
更にインストナンバーのためか、まったく別の印象を受ける。

カバー曲にもそれなりの魅力を持つが、彼らのオリジナル曲もまた捨てがたい。
今回のマイコレクションはライブ盤によるものだが、2006年にリリースされたというスタジオ録音のアルバム「Rodrigo y Gabriela」も聴いてみたいものだ。