女性トランペッター アンドレア・モティス「EMOTIONAL DANCE」に注目
<第2回>
アルバム「Emotional Dance エモーショナル・ダンス」
女性トランぺッター&シンガー、アンドレア・モティス

今回ご紹介するのは、女性トランぺッターでシンガー、そして作曲もするアンドレア・モティスというミュージシャンです。
その多才さから女性チェット・ベイカーなんて例えられているようですが、こう言った例え方は、実はわたしは好きではありません。
とは言うものの、そのキャッチフレーズのお陰で、アンドレア・モティスを知ることができたのですから、情けない話ですが感謝もしているのです。
確かに、こうした誰もが知っている有名人に例えてもらうと、理解し易いし伝達力も増します。
宣伝としては、もっとも効果的手法だと思います。反面、固定観念に縛られてしまうという負の面もある訳です。
わたしが懸念するのは、例える側も例えられる側も、互いに迷惑ではないかということです。
ご存知の通り、アーチスト、なかでもミュージシャンという人種は、個性を大切にする人たちです。真似されたり、例えられることに対しては、人一倍神経質になり、忌み嫌うのではないかと想像できるからです。
でも、今回のケースは、例えられる側のチェット・ベイカーはすでに故人です。こうした事が囁かれているなんて、知る由もない訳です。アンドレア・モティスの方は、偉大なトランペッターに例えてもらったのですから光栄でしょう。と想像できます。でも、彼女の本当の心情は、わたしたちには分かりません。
そんな訳で、今回紹介するのはアンドレア・モティスという若手トランペッターのアルバム「Emotional Dance」です。

かつては、サックスやトランペットは、肺活量など体力的な面で、女性には難しいだろうといった風潮が、音楽の世界ではあったように思います。
ところが、昨今のレディースは、そんな金管楽器をガンガン吹きまくっているようで、何とも逞しいの一言です。
今では、クラシックやジャズの世界で活躍している、女性サックスプレイヤーや女性トランペッターは、珍しい存在ではありません。
音楽シーンに限らず、スポーツ界やあらゆる分野で、女性の勢いは止まらない時代なんです。
さて、今回紹介するアンドレア・モティスもそんな逞しい女性のひとりです。ジャケット写真を見る限りでは、身体も小柄で表情などは、まだまだあどけなさが残る少女のようです。
それでいて、トランペットを扱うときのあのパワーは、一体どこからくるのでしょうか?
若さとは素晴らしい、そして何と羨ましいことでしょうか。
いずれにしても、彼女のように実力をともなった女性プレイヤーの登場は、大いに歓迎です。
アルバム「Emotional Dance」について
<アルバム収録曲>
01 He's Funny That Way 4:50
02 I Didn't Tell Them Why 2:30
03 Matilda 6:52
04 Chega De Saudade 5:48
05 If You Give Them More Than You Can 4:05
06 Never Will I Marry 3:19
07 Emotional Dance 4:33
08 You'd Be So Nice To Come Home To 4:23
09 La Gavina 4:46
10 Baby Girl 4:23
11 Save The Orangutan 4:00
12 I Remember You 4:32
13 Señor Blues 3:49
14 Louisiana O Els Camps De Coto 4:33
ビリー・ホリデイの十八番である、「He's Funny That Way」ではじまるこのアルバムは、ジャズのスタンダードナンバーと、彼女のオリジナル曲で構成されています。
スタンダードナンバーもソツなくこなしますが、驚いたのは彼女の作曲のセンスです。
21才とは思えぬ大人の音楽を作り出すセンス、尚且つ背伸びすることなく演奏し、歌いこなすテクニック。とにかく、音楽に必要なすべてを兼ね備えているのです。
なかでも、7曲目のアルバムタイトル曲「Emotional Dance」は、「これ、彼女のオリジナルなの?」と疑いたくなるような完成度の高い楽曲で、実に印象的なナンバーです。
スタンダードナンバーの中では、ビクター・シャーツィンガーとジョニー・マーサーの名曲「I Remember You」が、最高の出来栄えです。12曲目に入っていますが、これがわたしのイチ押しの一曲ですネ。
IMPULSE(インパルス)が今一番期待する新星であることが、このアルバムを聴くと、なるほどと頷けます。
どうやら、アンドレア・モティスは、単なるカワイ子ちゃんのアイドルプレイヤーではないようです。持前の洗練されたセンスと、確かな実力を兼ね備えた逸材であることは、間違いないようです。
(2017.05.03 公開)
最後までお読みいただきありがとうございました。
from JDA

