ここ最近、全国の自治体で拡がりを見せている注目の「ツタヤ図書館」
そんな中、先日(10月9日)の朝日新聞に話題の「ツタヤ図書館」の記事がありました。
それによると、愛知県小牧市で計画されている新図書館建設を巡る住民投票の結果、反対票が賛成票を上回り「ツタヤ」との連携計画は一時停止になったとのことでした。
記事は、住民投票結果がどうしてそうなったのか、問題点は何だったのか、そして今後どうして行けばよいのかといったことに触れていました。
一方、佐賀県武雄市や神奈川県海老名市などでは既に「ツタヤ図書館」は開設されていて、一定の経済効果が出ている反面、いくつかの問題点も出ているという実施事例も紹介されています。
自治体がこの計画を推進したい最大の理由は、図書館建設コストの軽減と市街地の活性化というダブルの効果です。
それに対し、住民側が問題視するのは民間が関われば利益優先になりかねないという懸念からです。
現に、実施済の自治体でも、そうした懸念に該当する事例が出ているからです。
こうした議論を聞いていると思い出すのが「郵政民営化問題」です。
あの時も、賛成、反対の両者から上記のような意見が出ていましたが、強引に実施され現在に至っています。
果たして「郵政民営化問題」は結果的にどうだったのでしょうか。
その評価は、私たち利用者側の立場では評価できても、それは一方的な評価で全体としてどうだったのかは判りません。
何事も実施後の総括は、実施前の議論ほどされないのが世の常ですから。
それと同じことが、今回の「ツタヤ図書館」の問題でも言えるような気がします。
推進する側は実施することに意義があると考えているのではないでしょうか。
「スタートしてしまえばこっちのもの」的な考え方が見え隠れしてなりません。
いずれにしても、今回は反対票の方が多く、一時停止状態になったことは幸いです。
新聞記事は最後に、「『ツタヤ図書館』が提供するサービスと住民のニーズが合致するのか、市と住民が時間をかけて話し合うことが必要です」という慶応大学の糸賀雅児教授のコメントで結んでいますが、正直、それ以前に「図書館の在り方」について議論することの方が先決のように思うのですが...
<参考資料>
小牧市新図書館建設の住民投票結果(2015年10月9日朝日新聞朝刊37面より)
反対 32,352票
賛成 24,981票