気が付けば今年も12月。
ひところの寒さは和らいだものの、冬の訪れは一歩一歩確実に近づいているようです。
思えば、こんな寒い季節になると何故かコンサート会場へ足を運ぶことが多い私たち夫婦。でも、昨日(12/3)は「仲道郁代さんのコンサート」に私一人の単独行動でした。正直なところ、私の奥さんにとっては今回のプログラム内容はハードルが高かったようです。
さて、この日のコンサート、プログラム冊子にもあるように仲道さんのデビュー30周年記念ということもあり、曲目は仲道さんの「マイ・フェイヴァリット」ソングで構成されていました。
そんな中、コンサート前半にチョットしたサプライズがありました。
それは、予定のプログラムにはなかったのですが、どうしても彼女が演奏したいということで、ピアノ練習曲としては超有名なモーツァルトの「ピアノソナタ K.545 ハ長調」の飛び入り演奏でした。
彼女の30周年記念というイベントに対する強い思い入れとファンを思う温かい気持ち(サービス精神)がこんなところにも現れていて演奏ともども感動した次第です。
一般的なクラシックのコンサートでは、演奏者がはじめの挨拶をした後は淡々と予定曲を演奏しフィナーレを迎えるというのが普通ですが、彼女のコンサートは演奏の合間に必ず楽曲の説明や、その曲にまつわるご自身のエピソードを交えてくれるのが特徴で、私たち聴衆にとっては分かり易くとても嬉しいことです。
そのため、仲道さんの演奏会は一方的にならず、打ち解けた雰囲気のまま、終始何とも言えぬ清々しさに包まれるのです。何とも後味の良い瞬間だといつも思っています。
この日も、幼少のころのショパンのポロネーズの思い出や、学生時代に練習しても練習しても上手く演奏できなかったリストの「メフィスト・ワルツ」という楽曲のことなど、貴重な体験談を聞くことができました。
仲道さんのコンサートはそんな魅力でいっぱいです。
彼女の演奏の素晴らしさは勿論のこと、彼女の人間としてのチャーミングさにも心惹かれ、次回も必ず行きたくなる、そんな演奏家のひとりです。
ちなみに、当日のアンコール曲は
- ショパン:12の練習曲 作品10 第12曲<革命>
- ショパン:12の練習曲 作品10 第4番<別れの曲>
- エルガー:愛の挨拶
2016年12月3日