エクセルファイルのアイコン(ショートカット)をダブルクリックしても開かない





今年の3月からMicrosoftのOffice 365 Soloを利用していますが、
ダウンロード、インストールなど使用にあたっての設定も無事完了。
先日はじめてExcelファイルを開こうとしたときのことです。

以前から使用しているデスクトップ上のエクセルファイルのショートカットをダブルクリックしたのですが、Excelそのものは開くのですが、当該のファイルがいつまでたっても開きません。

そこで、むかしよくあったDDE(Dynamic Data Exchange)を疑い、Excelのオプションにある、「Dynamic Data Exchange(DDE)を使用する他のアプリケーションを無視する」の項目がどうなっているかを確認してみました。

図1
ファイル→オプション→詳細設定→全般

実は、この種のトラブルは私の個人的な記憶では、Windows 2000やXPの時代にExcelでよくあった事例です。
この項目にチェックが入っているとExcelファイルをアイコンのダブルクリックでは開けないという現象でした。
ちなみに、以前のExcelでは単に「他のアプリケーションを無視する」だったように思います。

今回もてっきりこれが原因かなと、ある意味懐かしく感じながら、簡単に考えていたのですが、確認したところ予想に反して「チェックが入っていない」ではありませんか。
確かExcelのデフォルトではチェックは入っていないので、初期設定のままなのでなんら問題ないはず。
ということは、他に原因あり。

そこで、次に考えたのが「Excelの修復」です。
私の場合、Office2010からOffice 365 Soloに乗り換え、その後、Office2010をアンインストールしました。
こうしたケースの場合、不具合が出るということを以前聞いていたの
で、修復を試してみることに。
<「Excelの修復」の手順>

コントロールパネルの「プログラムと機能」で「Office 365 Solo」をアンインストールではなく、「変更」項目を選ぶ。

「Officeプログラムをどのように修復しますか?」「クイック修復」を選択。しばらく待ちます。

修復が終了するとこの画面が出る。
修復が終了するとこの画面が出る。

 

修復が完了となったら、当該ファイルをダブルクリックして開くかどうか確認する。
通常はこの段階で解決するのでしょうが、私の場合当該ファイルをダブルクリックしたところ、次のようなエラーメッセージが出ました。

図3
調べてみると、上述の修復作業の結果、オプションの「Dynamic Data Exchange(DDE)を使用する他のアプリケーションを無視する」項目に、
自動的にチェックが入ってしまったからのようです。
チェックを外し、再度当該ファイルをダブルクリックしてみると、今度は正常に開くことができました。

*作業が一段落した状態で、試しにオプションの「Dynamic Data Exchange(DDE)を使用する他のアプリケーションを無視する」に
もう一度、手動でチェックを入れて当該ファイルをダブルクリックしてみたところ、例のエラーメッセージが表示され開けませんでした。
どうやら、チェック入りだとエラーメッセージが出るような仕様に変更されたようです。

以前から、この種のトラブルは解決方法はだいたい分かっていたのですが、 「Dynamic Data Exchange(DDE)を使用する・・・」項目に自動的にチェックが入ってしまう原因が未だに掴めません。

書店に椅子は必要ですか?





近頃は、本棚が並ぶ通路に一定間隔に椅子を置いている書店をよく見かけるようになりました。
図書館などでは以前から見慣れた光景でしたが、書店が同じようなことをする目的とは果たして何なのでしょうか。

素人考えで言えば、一息ついてもらうというお客へのサービスか、あるいは、じっくりと目的の本を吟味してもらい購買につなげるためか。

いずれにしても、私としては反対です。
十分な通路の幅が確保されているならまだしも、現実は窮屈そのものでそこまで追いついていません。

かつて、街の商店街の小さな本屋さんでは立ち読み禁止が当たり前でした。
単なる立ち読みか、購入のための品定めとしてチョッと読んでいるのか、その辺りの見極めが微妙で難しかったのですが、明らかに長いと、店主の親父さんの視線が強烈になり、最終的には注意されることもあったほどです。

そんな時代に比べると、今はお客にとって大変恵まれた環境ですが、
だからと言ってこうした状況を「諸手を挙げて賛成」とも言い難いのが現実です。
一方で弊害がたくさんあるからです。

例えば、狭い通路で足を組んで読みふけるお客。
あるいは、当然の権利を行使するかの如く、長時間にわたり席を独占するお客など。
こうした身勝手な人たちにとっては快適かもしれませんが、多くのお客にとってはこうした行為は迷惑で不愉快に感じられます。

先日、書店のレジで興奮したお客が店員に荒い口調で何かを訴えかけているのを見かけました。
どうやら、通路の椅子に座っている客が出っ張っているので歩きづらいから注意してくれ、という苦情だったようです。
こうした、お客間の摩擦も既に現実問題化しているのです。

この手のサービスを実施する場合には、同時にルールやマナーを守るという前提がないと成功しないように思います。
残念ながら、外国に比べ治安やマナーが良いと言われているわが国でさえ、未だそのレベルなのです。

そのむかし、ハワイのオアフ島を中心にブックストアーを展開していたアメリカ資本の「ボーダーズ」というチェーン店がありました。
この店は書店内での立ち読み自由をウリにしていたのですが、実際には、通路に座りこんで読んでいる少年少女たちが目立っていました。
こうした光景を目の当たりにしたとき、正直驚きとともに、ある種の羨ましささえ覚えたものでしたが、
同時に自由の行き過ぎとも感じたものでした。

ある意味、こうした試みも電子書籍やネット販売に対抗してのサービスだったのでしょうが、それから何年もしないうちに、この「ボーダーズ」という書店は、日本で言う会社更生法の適用を受けハワイから姿を消していきました。
店内にカフェなどもあり、お洒落で落ち着いた雰囲気の私好みのお店でしたので、当時はとても残念に思いました。
立ち読み自由の方針が倒産の直接の要因とは決して思いませんが、書店はそこまでする必要はなかったのだと思います。

最近の日本の書店は、こうしたアメリカ方式を真似たのかどうかは分かりませんが、はっきり言って参考にしない方が良いと思います。
先述したように、マナーの良くない人たちがいる限り、書籍の汚れ、破損も多くなることが考えられますし、個人的にはそうした書店では購入したくないというのが正直な気持です。

Adobe Photoshop CC 2015が起動時にフリーズ

昨年からAdobe Creative CloudのPhotoshop CCを年間契約で利用しています。
この一年、これといったトラブルもなく普通に使っていましたが、先日起動してみると、例の必要ファイルを読み込み後、起動はしたのですが、
初期画面に前回作業していた画像ファイルがそのまま残った状態で表示されました。どうも様子が変なのです。

記憶では、作業ファイルを保存してPhotoshopを終了したはずだったのですが、私の記憶よりもパソコンの方が信頼性があります。
恐らく、何らかの原因で正常終了しないまま終わらせたのでしょう。

この件に関してはいくら追及しても致し方ないので潔く諦めることとして、早速、解決方法について触れたいと思います。

調べてみると、Photoshopには、私たちがカスタマイズした各種設定など、多くの情報を「環境設定ファイル」として、一定の場所に毎回保存するようになっているようです。

このファイルが異常終了などあった際、不完全な状態で上書き保存され、次回起動した時にその不完全な内容のファイルが読み込まれるため、フリーズ等の不具合が発生するようなのです。

それでは、そうなった場合どうすればよいのか。
結論から言うとPhotoshopのヘルプによれば、方法はとても簡単です。

<操作手順>

  1. Photoshop CCを起動と同時に
    Windowsの場合はCtrl+Alt+Shift キーMacの場合はCommand+Option+Shift キーを同時に押し続ける。
  2. 次のような画面が表示されるので「はい」ボタンを押す。
    環境設定ファイルを削除
    図A 環境設定ファイルを削除

     

  3. 環境設定ファイルが初期化され、通常通りPhotoshopが開く。

以上で操作は完了ですが、一番のポイントはPhotoshopの起動と手順「1.」のショートカットキーの押すタイミングです。
チョッと遅れると不具合状態のままのPhotoshopが立ち上がってしまいますので注意してください。

*詳細について知りたい方は次のPhotoshopヘルプを参照ください。
https://helpx.adobe.com/jp/photoshop/kb/cq02162112.html

最近突然に、光学ドライブが認識されなくなった


最近、自宅のネットワークLANでデバイスの表示が中途半端だったので、
ネットワークアダプターの状況を確認するためデバイスマネージャーの画面を開いたところ、「DVD/CD-ROMドライブ」の項目に黄色の感嘆符「!」が付いていることに気が付きました。

デバイスマネージャー

早速、当該デバイスのプロパティを調べたところ、通常なら「このデバイスは正常に動作しています。」とあるところ、今まで見たことのない次のようなエラーメッセージが表示されていました。

「レジストリ内の構成情報が不完全であるか、または壊れているためこのハードウェアデバイスを開始できません。(コード19)」

確かに、その後BLU-RAYドライブのトレイにディスクを入れても何の反応もなく、エクスプローラー上でも本来表示される筈のデバイスのドライブレター(K:などの表示)が消えていました。

ここ最近の当該パソコンの使用状況を考えても原因が思いつきません。
気になることと言ったら、Windows7からWindows10にアップグレードしたことぐらい。
でも、それは昨年11月下旬のことで、それ以後何度もこの光学ドライブは使用していて、その間別段の不具合はなかったはず。

ネットで調べてみると、iTunesが何らかの影響をしている云々の記事があったが、最近は当該パソコンでiTunesを扱ったことはないので、iTunesは関係なさそうだ。

次に、エラーコードで検索してみるとマイクロソフトのサポートに詳しいページがあり、事例的にもわたしのケースに当てはまるので、この対応方法を参考にしました。

https://support.microsoft.com/ja-jp/kb/314060
サポートページはWindows8、あるいはWindows8.1を例に説明していますが、私の場合、Windows10ですが基本的には同じと判断し試してみました。

結論から言うと、OKでした。
操作後、BLU-RAYドライブはエクスプローラー上に認識され、デバイスマネージャー画面の感嘆符は消えていました。

但し、レジストリというWindows内の最も重要な情報を格納したデーターベースを操作するので、事前のレジストリーのバックアップと取り扱いには十分注意が必要です。
それでは、Windows10での作業手順をまとめておきます。

<作業手順>
1.レジストリーエディターを開く



PC画面、左下のウィンドウマークウインドウズマークを右クリック⇒開いた画面から「ファイル名を指定して実行」をクリックします。

エクスプローラー1
⇒開いた画面の名前欄に「regedit」と半角英数字で入力し「OK」をクリックします。

エクスプローラー2
「ファイル名を指定して実行」画面

2.「ユーザーアカウント制御」画面が出るので「はい」ボタンをクリックすると「レジストリーエディター」画面が表示される。

regedit画面1
「レジストリーエディター」画面

3.「レジストリーエディター」画面の左画面で次のレジストリーサブキーを開きます。

HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Control\Class\{4D36E965-E325-11CE-BFC1-08002BE10318}

4.上記レジストリーサブキーの最後尾の{4D36E965-E325-11CE-BFC1-08002BE10318}をクリックすると、右画面にいくつかのエントリが表示されるので、その中から次のエントリを探し削除します。

regedit画面2
UpperFilters は元々なかったので、LowerFiltersエントリの方だけ削除します。

UpperFilters ・・・このエントリは私の場合最初から存在しませんでした。

LowerFilters ・・・削除を確認するメッセージが表示されますので「はい」をクリックし、削除します。

5.レジストリーエディターを終了します。

6.PCを再起動します。

7.PC起動後、デバイスの状況を確認します。

デバイスマネージャー2
デバイスマネージャーに当該ドライブが正常に表示されている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エクスプローラー上もK:ドライブとして表示されています。
エクスプローラー上もK:ドライブとして表示されています。

ちなみに、作業終了後、念のため再度「レジストリーエディター」を開き、レジストリーサブキーがどうなっているか調べたところ、
「UpperFilters」の方は相変わらず存在しませんでしたが、「LowerFilters」の方は復活していました。恐らく一旦削除し再起動によって完全な状態に回復したのだと思われます。

とりあえず、トラブルはお陰さまで解決しましたが、原因については明らかにはなっていません。Windows10にアップグレードしたことは、ほとんど関係ないと思いますが、その辺も定かではありません。
原因について考えを巡らしていた時、ひとつのことを思い出しました。
それは、iTunesのアップデートです。確かにこの間iTunesを当該のパソコンで開いてはいませんが、「*.*バージョンが利用できます」と言ったアップデートのお知らせでファイルをダウンロードし更新したような気がします。
詳しい日程等は覚えていませんが、その辺りが影響したのかもしれません。

コンサートに於けるアンコールの在り方




さすが、NHK交響楽団
指揮者、トゥガン・ソヒエフの今後に注目!

最近のコンサートを観ていて、とても気になることがひとつある。
それは、アンコール演奏の在り方である。昨今のコンサートではアンコール演奏はプログラムの一部と化している。
あって当然という意識が演奏者、観客の両者にあるように思えて違和感さえ覚える。
本来のプログラムが終わるや否や、ブラボーの掛け声とともに万来の拍手が起こり、指揮者やソリストの数回にわたる出入りと挨拶を繰り返すお決まりのパターン。
そして最近では、そのあとに必ずアンコール曲がプラスされるというパターンが、概ねどのコンサートでも行われている。

そもそもコンサートに於けるアンコールという風習がいつ頃から始まったのか。
そんなことを改めて調べたことはないが、要は演奏者のサービス精神からきているのは確かであろう。
その意味では、当初はとても純粋な心遣いだったに違いない。

1、2曲余計に聴けるのだから誰しも得したと考えるのは当然だが、ここでへそ曲がりなわたしとしては納得がいかない。

そもそも、演奏家が予定の曲目を手応えある形で演奏できていれば、その日コンサートホールに足を運んでくれた聴衆に対して十分サービスしたことになるし、それで十分だと個人的には思うからだ。
しかし、最近ではアンコールがあることが前提という考え方がこの業界には蔓延しているように思える。

何度かコンサートを経験すると、その場の雰囲気というものを感じ取れるようになる。聴衆の立場からすると、惹き込まれるような演奏を聴けたとき。
演奏家にとっては、十分に納得いく演奏が果たせたとき。
よくいう演奏者と聴衆が一体になった時というのがこうした状況といえるのでしょう。

そんなとき、会場は自然発生的にアンコールを求めるもので、それは演奏家、聴衆両者が気持ちの上で同期状態になったからこそ起こり得る現象の筈だ。
(はじめからアンコールというレールが引かれていては興ざめしてしまう)
だが、そうしたすばらしい演奏会には、めったにお目にかかれないのが現実。

ところが、先日そうした数少ない貴重な演奏会に巡り会えたので紹介したいと思う。
でも、そこでは不思議なことに(後々考えると不思議ではないのだが)、アンコールは行われなかったのである。

去る2016年1月23日(土)
場所はみなとみらいホール。
NHK交響楽団の2016横浜定期演奏会でのことである。

2016NHK交響楽団
NHK交響楽団

プログラム内容は上のパンフレットの通りだが、この日の圧感はプログラム最後の「白鳥の湖」だった。

ルーカス・ゲニューシャスのピアノによるラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番」もゆったりと堂々とした演奏で、作曲家ラフマニノフの曲調を十分に表現した名演だったが、それにも増してすばらしかったのがチャイコフスキーの「白鳥の湖」抜粋だった。

正直なところ、「白鳥の湖」のようなバレエ組曲をコンサート会場で(自宅のオーディオでも)聴くことは最近では滅多にない事だが、じっくりと聴いてみると、改めてメロディーメーカーとしてのチャイコフスキーの天性と偉大さに感心する。クラシック音楽の原点を再認識させられた思いだった。

ややもするとポピュラーすぎて軽く聞き流されがちなこの曲を、この日のN響は全力で演奏していた。その迫力はフィナーレで最高潮に達し、指揮者のトゥガン・ソヒエフも最高のパフォーマンスを発揮。演奏終了時は満足そうな表情を浮かべたものの、身体はフラフラ状態だった。
そんな演奏に対し、もちろん会場は万来の拍手喝采状態だった。

いつまでもアンコールを求める拍手が鳴り止まなかったが、指揮者のトゥンガ・ソヒエフはアンコールに応じることはなかった。
コンサートマスターの篠崎氏もトゥンガ氏に声をかけ、アンコールを促している様子だったがそれでも応じることはなかった。

一見、このときにとった彼の行為は、素っ気なく観客に対して失礼な対応のように感じられたかもしれないが、わたしは寧ろ勇気ある行動に感心した。

表情豊かで、動きの激しい彼の指揮ぶりでは、演奏後疲れ果ててしまったのも尤もで、さらにこの日の演奏はいつも以上に気合が入っていただけに、体力の限界だったに違いない。
アンコールがなかったのは無理もないことで納得できた。
その証拠に聴衆の中に落胆の表情は全く見受けられず、満足顔の人たちが目立っていたからだ。

逆に、あのとき不本意なアンコールを行っていたら、それまでの「白鳥の湖」の熱演もアンコール曲共々台無しになっていたかも知れない。
指揮者のトゥンガ氏は自身の体力とともに、そうした結果を十分に察知していたのだと思う。「あれで良かったのだ。」と思ったのはわたしひとりではなかったはずだ。

昨今のコンサートに於けるアンコールの在り方に、少なからず疑問を抱いているわたしとしては、彼の勇気ある行動にエールを送りたい気分だった。
将来、期待でき、応援したくなるマエストロのひとりである。

NHK2016パンフ演奏家紹介
NHK2016パンフ演奏家紹介

演奏者と聴衆、一期一会の出会いの中で繰り広げられる演奏。その演奏がすばらしければすばらしいだけ聴衆は惜しみない喝采を演奏家に送り、褒め称えるのは自然なことだ。
そして、必ずしもそうした拍手喝采が、アンコールを求めるだけのものではないと言うことを、この日のコンサートはわたしたちに教えてくれたように思う。

要するに、アンコールをするかしないかは、その場の状況やその時の成り行きなどで、瞬間的に判断されるものであってほしいと思うのだ。
自宅でのCD鑑賞とコンサート会場での生演奏との決定的な違いは臨場感など音に関係する違いであることは勿論だが、こうした会場でのワクワク感、緊張感もコンサート会場にいなければ味わえない魅力であり、それこそコンサートに期待するものだ。

Ave Maria in Christmas  サンクトペテルブルグ室内合奏団





去る12月23日、「クリスマス/アヴェ・マリア」と題したクリスマス・コンサートに行ってきました。

みなとみらいホール前のクリスマスツリー
みなとみらいホール前のクリスマスツリー

ロシアのサンクトペテルブルグ室内合奏団とマリーナ・トレグボヴィッチ、ナタリア・マカロフの二人のソプラノによる豪華競演でした。

注目は、数あるアヴェ・マリアのなかでも三大アヴェ・マリアと言われているJ.S.バッハ(グノー編曲)、シューベルト、カッチーニの作品を一度に聴けること。

バッハとカッチーニのアヴェ・マリアをナタリア・マカロフさんが前半に、後半マリーナ・トレグボヴィッチさんがシューベルトのアヴェ・マリアを熱唱されました。どれも美しい旋律を持った名曲ですが、その中でもカッチーニ作曲のアヴェ・マリアは哀愁を帯びた旋律が深く心を打ち涙を誘います。ソプラノのナタリア・マカロフさんはまだ29歳とのこと、でも、その歌唱力、落ち着きはベテランを思わせ堂々としたもので、この名旋律をドラマチックに謳い上げていました。

STPETERSBURG_Xmas
パンフレット 表
STPETERSBURG_Xmas_2
パンフレット 裏

パンフによれば、サンクトペテルブルグ室内合奏団はクラシック音楽の他にも、ジャズや映画音楽をレパートリーとしているというコメントがあったのですが、この日の演奏は極めてクラシックの正統派の演奏だったと思います。楽譜にとても忠実な演奏だったのが意外でしたが、好感が持てました。臨機応変の対応ができるこの合奏団の技量は奥深いと言えます。

なかでも、コンサートマスターのイリヤ・ヨーフさんは表情豊かな方で、おどけた顔を何度もしてクラシックの演奏家では異色ですが、ヴァイオリン演奏の実力は確かなものがあると感じました。指揮のお仕事とソロ演奏を見事にこなし、ジャンルによって演奏形態を自由に変化させることができるのはその証でしょう。

ヴィヴァルディの「四季」は季節柄、この日は「冬」だけの演奏でしたが、このサンクトペテルブルグ室内合奏団で、すべて聴いてみたい気持ちになったほどです。それと、ジャズや映画音楽についてもどんな演奏をするのか興味深いところです。

この日のコンサートは誰もが知っている馴染みの曲を集め、敢えてクリスマス・ソングのオンパレードにしなかったプログラム構成が上手く計算されていた印象でした。
クリスマス・ソングは楽しい曲、美しい曲と名曲がいっぱいですが、その連続演奏を一方的に聴くのでは疲れてしまい、コンサートとしては相応しくないように感じます。その意味で、選曲についてはとても良かったと思います。

当日のプログラム
当日のプログラム

いわゆるクリスマス・ソングは、「きよしこの夜」がアンコールで披露されたくらいで、多くはクリスマスソングではないけれどクリスマスをイメージできる曲で構成され、通常のコンサートとしても十分満足できる2時間にしていたように思いました。

コンサートを聴き終えて、爽やかな気分と豊かな気持ちになれたのは、わたし一人ではなかった筈です。

リカバリー後のWindows7、シャットダウン後の更新プログラムに苦しむ


2010年6月ころに買ったDELLのデスクトップPC「Studio XPS 9000」
OSは当時 Windows7でしたが、途中でWindows 8へアップグレード。
その後、最近になりCPUおよび電源の冷却ファンの暴走が頻繁に発生。
また起動後、突然に再起動をしたりと、かなり不具合が目立ってきたので、この際思い切ってリカバリーを決行することにしました。
それが11月はじめのことです。
これはそのときの作業記録ですが、主は大量蓄積したWindows の更新プログラムの対処方法です。

TL;DR

これまでの使用で、HDDはかなりガタが来ている印象があったので、HDD交換の上でのリカバリーの試みとなりました。
購入したのはウェスタンデジタル製HDD(WD Blue 1TB 3.5インチ 7,200rpm)です。
というか、PCショップ、家電量販店へ行っても、内臓HDDの製品自体が少なく、選択肢が余りなかったのが何ともショック。

リカバリー作業は購入当初リカバリーディスクを作成しておいたので思ったよりも容易に完了しました。
一番心配だったのは、新規購入HDDとStudio XPS 9000の相性問題だったのですが、こちらも難なくクリアしました。

そんな訳で、リカバリー作業は思いのほか順調で、次の課題はパソコンをできるだけリカバリー前の環境に戻すことです。
以前入っていたアプリケーション、フリーソフト類の選別と具体的なインストール作業へ進みます。
蛇足ですが、このソフト類のインストールで一番厄介だったのがセキュリティーソフトでした。

自分の場合、ニフティ系の「常時安全セキュリティー24」というネット系サービスのセキュリティを利用しています。
このソフトは専用アプリを自分のパソコンにインストールすれば、通常デフォルトで利用可能なのですが、そのインストール作業でつまずきました。
結果的にはサポートに電話し解決したのですが、その原因はニフティーのホームページ上で公開しているダウンロードソフトが新し過ぎたことでした。
世間ではWindows8.1やWindows10対応の時期ですから、無理もありません。
現在公開中のアプリのバージョンではWindows7は非対応で、正常にインストールできないことだったのです。
よって、旧バージョンのダウンロードでこの問題は一件落着。

比較的順調だったのはここまでで、その後思いも由らぬ苦難が待ち受けていたのである。
それはWindowsの更新プログラムだったのです。
このトラブル対応では通算して5日間くらい無駄な(?)時間を費やしたことになりました。

さて、それではその全容をご紹介します。
先ずことの始まりは、日ごろのパソコン操作では当たり前のシャットダウンでした。
その日も、いつものようにパソコン作業を終え、シャットダウンをしたのですが、
なんと更新プログラムが2**個(正確な数は記録しなかったので定かでありません)ありますというメッセージ付でした。
数は多いと思ったものの、初めて見るメッセージではなかったので、夜も遅かったためディスプレイの電源を切りその日は寝てしまいました。

翌日パソコンの電源を入れると、
「Windows更新プログラムの構成に失敗しました。変更を元に戻します コンピューターの電源を切らないでください。」
と言うメッセージが表示されたまま画面はフリーズしたように変化なく、時間だけが虚しく過ぎていきました。
待つこと十数時間(?)というか、途中諦めてそのままにして置いたので、詳しい時間は正直なところ分かりません。

気が付いたときはパスワードの入力画面になっていたので、
パスワードを入力し無事に起動。
これで解決とそのときはホッとしたのですが、その日の夜もシャットダウンすると前日と同じメッセージが表示されたのです。
違っていたのは更新プログラムの個数が多少なりとも減っていたことぐらいです。
それでも二百弱あるので、前日の作業は大した効果はなかったことになります、虚しい限りです。

つまり、あの待ち時間は何だったのでしょうか。
あれだけ長い時間を費やした結果は、メッセージの通り単に「変更を元に戻した」だけだったのです。
この後も、同じことの繰り返しで何の進展もないままに数日が経過しました。

ところで「Windows更新プログラムの構成に失敗しました。変更を元に戻します コンピューターの電源を切らないでください。」
というキーワードで検索をかけると、ネット上では

1.リムーバブルメディア(メモリーカード、USBメモリー、リムーバブルディスクなど)が再起動の際、問題の原因になることがあるので取り外す。

2.Windowsにインストールされている様々なアプリや各種サービスによって、更新プログラムのインストールがブロックされることを回避するため、
クリーンブート状態でインストールする。

3.Windowsインストールディスクを使って、起動時にシステム回復オプションを実行し、システムの復元を行う。

などの方法が見つかりますが、わたしの場合、リカバリーしたばかりだったので3.については試行していませんが、
1.2.の方法については実行してみましたが、残念ながら効果はありませんでした。

わたしの場合、状況を再確認してみると更新プログラムが200個以上と大量で、そのことが特徴(ネック)であることが分かります。
つまり、Windows7登場以後に配信された更新プログラムが一挙に押し寄せてきた訳で、
それを一気に処理する(インストール)ところに最大の無理があったのでは、との憶測を立てたのです。

そこで行ったのが、Windows Updateの「設定の変更」です。
ご存知の通り、Windows Updateにはアップデートのタイミングを4種類から選ぶことができます。
現状は推奨の自動更新にしていました。この自動更新機能がシャットダウンの度に働いたのが今回のトラブルの要因でもあったのです。

WindowsUpdate_1
図1

Windows Updateの「設定の変更」は
コントロールパネル → Windows Update と進み表示画面(図1)で重要な更新プログラムの項で行います。

まず、「更新プログラムを自動的にインストール(推奨)」を図2のように「更新プログラムを確認しない(推奨されません)」に一時的に変更します。
この状態に何故するかと言うと、シャットダウン時に更新プログラムを意識せず直ちにシャットダウンされるからです。

図2
図2


次にパソコンを起動し、先ほどのWindows Updateの画面を開き、「更新プログラムの確認」を実行します。(図3)

図3
図3

「更新プログラムを確認しています...」これが思った以上に時間が掛かります(更新プログラムのダウンロード時や「変更を元に戻します」メッセージの時ほどではありませんが)ので留意してください。(図4)

図4
図4

暫くすると、確認が終了し「○○個の重要な更新プログラムが選択されています」と表示されるので、「更新プログラムのインストール」ボタンを押しインストールを実行します。(図5)

図5
図5

大量の場合は何度か同じ操作を繰り返し分割してインストールするようにします。
一見、面倒なようですが、分割した方が結果的には相当な時間短縮になります(徒労に終わらないはずです)。
分割インストールをする場合は「図5の○○個の重要な更新プログラムが利用可能です」の文字部分をクリックし図6の画面へ進みます。

図6
図6 分割する場合の更新プログラム選択画面

次に「更新プログラムのインストール」ボタンを押すと図7の画面になるのでここでも暫く待ちます。
途中、「○○個中○個目の更新プログラムをインストールしています…」のメッセージが出て経過を確認できます。

図7
図7

インストール作業が終了すると再起動を促すメッセージが出るので再起動をします。
この作業を何度か繰り返し、すべての更新プログラムをインストールし終わると、正常な状態に戻りシャットダウン時に上記のメッセージも出ずに終了できるようになります。
何れにしても、時間と根気が必要な作業であることは確かです。
パソコンの電源を長期間入れずに、運悪くその間に更新プログラムが大量累積した場合は注意してください。100個以上は要注意です。

<参考までに>
この作業に掛かる所要時間は、個々の更新プログラムのボリュームやネットワーク回線の種類、スピード、トラフィックにもよるので一概には言えません。

わたしの場合、上記のケースで
「更新プログラムの確認」16個の検出:約8分
「更新プログラムのインストール」16個 65.7MB:約35分

2001年Merrie Monarch ナターシャ・オダのDVD復刻に期待

Natasha Oda
Natasha Oda   画:JD

ハワイの踊りフラには、アウアナ(現代フラ)とカヒコ(古典フラ)の2種類があります。日本で行われているフラ・イベントではアウアナがほとんどですが、ハワイのアーチストによるステージではカヒコもよく踊られています。

カヒコは古典フラと呼ばれているように、古代ハワイの伝統に従っていて、神様に捧げる神聖な踊りとされています。そのため、比較的決まりごとが少ないアウアナに比べて、カヒコは守るべきルールが多く厳しいようです。
踊りの前にチャントというお祈りを神に捧げるのも、そうしたルールのひとつのようです。

また、踊りの衣装も優雅できらびやかなドレスで踊るアウアナに対して、カヒコはあくまでも素朴で大胆で力強さを感じる衣装が多いようです。
それは元来、フラという踊りが男性の踊りだったことに由来するからかもしれません。

そんな古代ハワイから受け継がれたカヒコですが、わたしが最も感動したのが、2001年のメリーモナークでミス・アロハ・フラに輝いたナターシャ・オダ(Natasha Oda)がコンペで披露したカヒコです。

カヒコ最大の特徴である力強さ、雄大さは勿論のこと、その斬新な振り付け、独特の動き、そして千変万化する彼女の顔の表情は余裕すら感じます。あの舞台でのナターシャ・オダのフラ・カヒコはまさに圧巻の一言です。

メリー・モナークの長い歴史の中で、2000年のテハ二・ゴンザーノ、2003年のジェニファー・オオヤマ、2004年のナターシャ・アカウ、2009年のヘノヘア・カネ、そして最近では2013年のマナラニ・ミリ・ホコアナ・イングリッシュなど錚々たるメンバーがミス・アロハ・フラの栄誉に輝いていますが、このカヒコに関してはあの時のナターシャ・オダが最高位だとわたし自身は信じています。(すべてを比較した訳ではありませんが)

とにかく、わたしのつたない解説よりも「百聞は一見に如かず」
動画をご覧ください。

2001 Merrie Monarch Festival
Miss Aloha Hula  Natasha Oda 

`それにしても、2001 Merrie Monarch Festival のDVDは復刻されないのだろうか?

当初はVHSのビデオテープでの販売だったそうですが、確か2004年頃にDVDとして再販したと聞いているのですが、現在は廃盤のようです。
中古市場でもほとんど出回っていません。

2001 Merrie Monarch Festival のDVD
2001 Merrie Monarch Festival のDVD

ハワイへ行ったとき何度か探しましたが、虚しい結果に終わりました。

メーカーさんには是非お願いしたいと思います。

名門チェコ・フィルを聴く

去る11月3日文化の日、名門チェコ・フィルハーモニー管弦楽団の音の素晴らしさに堪能してきました。指揮は2012年にこのオケの首席指揮者に復帰したイルジー・ビエロフラーヴェク。場所は横浜みなとみらいホール、曲目は以下の通りです。

・ スメタナ : シャールカ ~連作交響詩「わが祖国」より
・ メンデルスゾーン : ヴァイオリン協奏曲 op.64
  庄司紗矢香(ヴァイオリン)
・ ドヴォルザーク : 交響曲第9番「新世界より」op.95

チェコ・フィル&ビエロフラーヴェク&庄司紗矢香
チェコ・フィル&ビエロフラーヴェク&庄司紗矢香 コンサートビラ

 

チェコ・フィルと聞いてまず思い起こすのは、やはりラファエル・クーベリック、カレル・アンチェル、ヴァツラフ・ノイマンといった歴代のチェコ人名指揮者による母国作曲家作品の名演奏です。
残念なことに、彼らの演奏を生で聴くことはできませんでしたが、数々のCDでもその熱気は充分感じ取ることはできます。

母国作曲家の作品への愛着という点では、どのオーケストラも同じでしょうが、その中でもチェコ・フィルは特別なものがあります。
それは言うまでもなく、この国とこのオーケストラが辿った歴史的悲劇に起因しているのでしょうが、それ故にオーケストラメンバーひとりひとりの自信と力強さを演奏の中にはっきりと感じ取ることができます。

歴史的悲劇といえば、指揮者もまたその例外ではありません。
記事の冒頭、今回の指揮者イルジー・ビエロフラーヴェクが「首席指揮者に復帰」と記したのも、1990年代初めの内紛による影響で彼はそれまでの首席指揮者としての職位の辞任を余儀なくされ、その後2012年に再度就任という経過があったからです。

以前、テレビで1964年の東京オリンピック、女子体操個人総合などで金メダルをとったベラ・チャスラフスカさんのドキュメンタリー番組を観たことがあります。彼女もチェコ(当時はチェコスロバキア)人として時代というか政治というか、そうした国家の情勢に翻弄されたひとりですが、彼女と同様の苦難が指揮者イルジー・ビエロフラーヴェク氏にもあったということは不勉強ながらこれまで知りませんでした。

そうした暗い過去を背負ったチェコ・フィルですが、当日は活き活きとしたスメタナ、ドヴォルザークを聴かせてくれた気がします。なかでも、オーケストラの各メンバーの表情は意外なほど明るく、何か救われた思いでした。

それとは対照的に、庄司紗矢香さんのメンデルスゾーン、ヴァイオリン協奏曲はチョッと元気がなかったような印象です。細部にわたる木目の細かさ、弱音での丁寧さなど技術的には高い評価を受けるでしょうが、残念ながらこの日の演奏では音の線が全体的に細かったように感じます。
演奏は体調など微妙に影響するものですからいたしかたありません。
次回に期待したいところです。

とは言え、チェコ・フィルの手馴れた演奏とこちらも聴きなれた曲目ということで、演奏者、観客とも肩肘張らずリラックスした時間を共有できたように感じます。殊のほか女性メンバーの表情の豊かさと自由奔放な演奏振りがこの国チェコの現状を象徴しているようで、微笑ましい限りです。演奏を聴きつつ、精神的不安や緊張が知的生産や芸術活動に如何に悪影響を及ぼしているかを確信しました。今のこうした落ち着いた情勢がいつまでも続くことを願わずに入られません。

それにしても指揮者イルジー・ビエロフラーヴェク氏のサービス精神ぶりには何とも感動の一言です。アンコールで3曲も演奏していただいたのですから。彼が親日家かどうかは分かりませんが、聴衆を大切にするというその思いは充分伝わってきたように思います。

四半世紀前の本「辛口JAZZノート」は刺激いっぱい


辛口JAZZノート 寺島靖国 著

寺島靖国 著「辛口JAZZノート」
20数年ぶりに陽の目を見た 寺島靖国著 「辛口JAZZノート」

先日、「辛口JAZZノート」という本を見つけた。
この本は、昭和62年11月6日第1刷発行とあるから、四半世紀以上前に書かれていたことになる。
部屋には置ききれず、以前いくつかのダンボール箱に分けて保管しておいた中のひと箱から出てきたものだ。
ちなみに、わたしが購入したのは平成2年2月20日発行の第12刷である。
ジャズ関連書籍としてはかなりのベストセラーではないでしょうか。

紙の黄ばみはあるものの、傷みはほとんどなく、かなり上等の部類と言える。
表紙の綴じ側の折れ目もまったくないことから、果たして購入後読んだのかどうか疑わしい。
勿論、本の内容についてはまったくと言ってよいほど記憶にないのだから、恐らく当時流行った「つんどく(積読)主義」を地で行っていたのかも。

何れにしても、わたしがこの一冊にその時興味を抱いたのは、偶然にも数ヶ月前に読んだ、ジャズピアニスト山中千尋氏の「ジャズのある風景」の中に、寺島靖国氏の記述があることを思い出したからだ。
実際はどうなのか分からないが、本の中では両氏の間に険悪ムードが漂っていて、その原因も寺島氏の身勝手さからくる言動によるもので、
日頃問題発言をする人間が、された時の醜態ぶりを山中千尋流に綴っていた。
読者としては面白おかしく読ませて頂いたが、この手の表現は眉唾物で、どこまで信用できるかは当事者だけが知るところだろう。

山中千尋 著 「ジャズのある風景」
山中千尋 著 「ジャズのある風景」

さて、肝心の本「辛口JAZZノート」の内容だが、読み終えてみれば「寺島靖国節」炸裂と言ったところで、ある意味、野次馬根性的に好奇の目で一気に読み切ることができた。
それまでのお決まりのジャズミュージシャン年代記だったり、ジャズ全般の歴史を綴ったガイドブックとは明らかに異質であった。

ジャズ評論の世界では異端児的存在として知られている著者だが、
この段階で既にその片鱗は覗える。
また、、ジャズ喫茶オーナー、評論家、オーディオマニア、ジャズCDのプロデューサー、そして一ジャズファンと多肢にわたる活動を行っている寺島氏だが、この「辛口JAZZノート」が執筆活動としては始めての作品ということで、当時はかなりの意気込みをもって取り組んだのだろうと想像できる。

30代前半でジャズ喫茶のオーナーになり、50歳前後でこの本を執筆。
その時々で新しいことに挑戦し、何時の時代も好奇心を失わない著者の姿勢は見習いたいところだ。

従来の枠に囚われないものの考え方は、その当時ジャズの名盤とお墨付きのアルバムにさえ物申すという姿勢にも現れているが、そんな血気盛んな頃の著者のエネルギーがこの本を生んだように思えた。

<エピローグ>
恐らくこれも想像だが、わたしはこの本を購入当時読んでいないのが正解だと思う。
なぜなら、当時のわたしはジャズの初心者に近いものだったから、
恐らくガイドブック的なジャズ関係本を買っていたはず。
冒頭何ページか読み、路線の違いとあまりの破天荒ぶりにギブアップしたというのが妥当なところだろう。
(2015.11.25 JDA)