四半世紀前の本「辛口JAZZノート」は刺激いっぱい



辛口JAZZノート 寺島靖国 著

寺島靖国 著「辛口JAZZノート」
20数年ぶりに陽の目を見た 寺島靖国著 「辛口JAZZノート」

先日、「辛口JAZZノート」という本を見つけた。
この本は、昭和62年11月6日第1刷発行とあるから、四半世紀以上前に書かれていたことになる。
部屋には置ききれず、以前いくつかのダンボール箱に分けて保管しておいた中のひと箱から出てきたものだ。
ちなみに、わたしが購入したのは平成2年2月20日発行の第12刷である。
ジャズ関連書籍としてはかなりのベストセラーではないでしょうか。

紙の黄ばみはあるものの、傷みはほとんどなく、かなり上等の部類と言える。
表紙の綴じ側の折れ目もまったくないことから、果たして購入後読んだのかどうか疑わしい。
勿論、本の内容についてはまったくと言ってよいほど記憶にないのだから、恐らく当時流行った「つんどく(積読)主義」を地で行っていたのかも。

何れにしても、わたしがこの一冊にその時興味を抱いたのは、偶然にも数ヶ月前に読んだ、ジャズピアニスト山中千尋氏の「ジャズのある風景」の中に、寺島靖国氏の記述があることを思い出したからだ。
実際はどうなのか分からないが、本の中では両氏の間に険悪ムードが漂っていて、その原因も寺島氏の身勝手さからくる言動によるもので、
日頃問題発言をする人間が、された時の醜態ぶりを山中千尋流に綴っていた。
読者としては面白おかしく読ませて頂いたが、この手の表現は眉唾物で、どこまで信用できるかは当事者だけが知るところだろう。

山中千尋 著 「ジャズのある風景」
山中千尋 著 「ジャズのある風景」

さて、肝心の本「辛口JAZZノート」の内容だが、読み終えてみれば「寺島靖国節」炸裂と言ったところで、ある意味、野次馬根性的に好奇の目で一気に読み切ることができた。
それまでのお決まりのジャズミュージシャン年代記だったり、ジャズ全般の歴史を綴ったガイドブックとは明らかに異質であった。

ジャズ評論の世界では異端児的存在として知られている著者だが、
この段階で既にその片鱗は覗える。
また、、ジャズ喫茶オーナー、評論家、オーディオマニア、ジャズCDのプロデューサー、そして一ジャズファンと多肢にわたる活動を行っている寺島氏だが、この「辛口JAZZノート」が執筆活動としては始めての作品ということで、当時はかなりの意気込みをもって取り組んだのだろうと想像できる。

30代前半でジャズ喫茶のオーナーになり、50歳前後でこの本を執筆。
その時々で新しいことに挑戦し、何時の時代も好奇心を失わない著者の姿勢は見習いたいところだ。

従来の枠に囚われないものの考え方は、その当時ジャズの名盤とお墨付きのアルバムにさえ物申すという姿勢にも現れているが、そんな血気盛んな頃の著者のエネルギーがこの本を生んだように思えた。

<エピローグ>
恐らくこれも想像だが、わたしはこの本を購入当時読んでいないのが正解だと思う。
なぜなら、当時のわたしはジャズの初心者に近いものだったから、
恐らくガイドブック的なジャズ関係本を買っていたはず。
冒頭何ページか読み、路線の違いとあまりの破天荒ぶりにギブアップしたというのが妥当なところだろう。
(2015.11.25 JDA)

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